米国における銀行預金の流出はシリコンバレー銀行の破綻以前から始まっている
以前、米国銀行の預金流出が今後も続くであろうという債券王ガンドラック氏の見立てを紹介しました。
今回は、米国の銀行預金残高データが2023年3月22日週の数値まで更新されたため、そちらを確認していきたいと思います。
銀行預金の流出は続いている
3月22日週の銀行預金残高は$17.3Tでした。前週が$17.4Tほどなので、3月22日週にも$100Bほどの預金流出が続いていることが分かります。
以前のニュースレターでは、FEDが実質的に量的緩和を再開してまで銀行を支援している様子をお伝えしました。
* 銀行破綻への対応で、FEDは実質的に量的緩和を再開している
改めてFEDのバランスシートを確認してみると、3月15日週、
ISM製造業景況感指数は新型コロナ前後の水準まで後退している
最近は、連日のように景気後退をシグナルしている各種数値をお伝えしていますが、本日もISM製造業景況感指数という製造業の景気を表す指数が悪化している様子をお伝えします。
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ISM製造業景況感指数は新型コロナ前後の水準まで後退
4月3日に発表された3月のISM製造業景況感指数は予想の47.6を下回る46.3でした。前回は47.7であったことから、1.4ポイントの下落となります。
ISM製造業景況感指数は、全米の製造業の300人以上の購買・供給管理の役員に、生産、新規受注、在庫、価格、雇用などの項目について、
ケースシラー価格指数:2023年1月の住宅はデフレが継続、来年は前年比もマイナスへ
先週3月28日にケースシラー住宅価格指数が発表されています。
インフレの一角を占めて昨年は随分と話題になっていた住宅価格ですが、現状はすでに下落トレンドにあり、来年には前年比もマイナスになることが予想されます。
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S&Pケースシラー住宅価格はすでに下落中
S&Pケースシラー住宅価格指数が下落に転じていることは、以前のニュースレターでもお伝えしている通りです。先週3月28日に発表された最新(2023年1月)の数値でも住宅価格がすでにデフレに入っていることが改めて確認されました。
S&Pケースシラー住宅価格指数の中でも一般的に確認される主要20都市の数値を前年比で見てみると、まだプラスを維持しているものの前年比で+2.
ガンドラック氏:銀行の貸し渋りによって、米国は数ヶ月以内に景気後退へ
ガンドラック氏は、数ヶ月以内に米国は景気後退入りするという見立てをCNBC番組のインタビューで披露しました。
その背景には、FEDの利上げによる米国債と銀行預金金利の利回り差の拡大があります。この利回りの差が拡大することで、銀行預金から米国債へと資金が流出し、これが銀行の貸し渋りを招く結果、資金繰りが苦しくなって倒産する企業が増えるというのがガンドラック氏のシナリオです。
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利上げを止めないと預金の引き出しは止まらない
シリコンバレー銀行の経営破綻から始まった銀行の混乱は、以前紹介したようにFEDが銀行支援策を打ち出したことで、一旦は収まったように見えます。
* 銀行破綻への対応で、FEDは実質的に量的緩和を再開している
しかし、取付騒ぎが収まったとしても、銀行からの資金流出は止まらないとガンドラック氏は指摘します。それは、今回の件を通じて、
2022年4Qの実質GDPは強かったが、2023年2Qには景気後退入り
3月30日(木)に2022年4Qの実質GDPが発表されました。
年初から(特に3月に入ってから)大きく経済が動いているため、2022年4QのGDPというと少し今更感もありますが、一応確認しておきたいと思います。
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実質GDPは、2022年内の景気が強かったことを示した
GDPは、前期比を年率換算した数値をみるのが一般的ですが、大きなトレンドを確認するために、まずは前年比でも見ておきましょう。
前年比は+0.9%となっており、前回の+
Indeeed掲載求人数は減少トレンド、米国の賃金インフレも減速に向かう
収まりやすいインフレと収まりにくいインフレ
インフレには収まりやすいインフレと収まりにくいインフレがあります。
前者の例としては、原油などのコモディティがあげられます。このような金融市場で取引されている商品は、FEDの金融政策の影響を受けやすく、価格が高騰しても利上げ等の引き締め的な金融政策を行うことで比較的容易に価格を下げることができます。
実際、新型コロナ以降の金融緩和で上昇していた原油価格は、2022年にFEDが急激な利上げを開始したことで下落に転じています。
金融に詳しくない人の間では、原油価格の高騰理由をウクライナの戦争に求めることも一般的ですが、こちらのグラフをみると原油価格は基本的に金融政策によって動いていることが分かります。
また、コモディティほどではありませんが、住宅価格も金融政策によってインフレを抑えやすいです。金利が上昇すると住宅ローンを借りて家を買うのが難しくなるからです。
主要な住宅価格指数であるケース・シラー指数をみると、利上げによって住宅価格のインフレが止まり下落に転じていることが分かります。
ハワード・マークス氏:割高・割安はその程度問題が重要
今回は、普段の経済指標や金利のウォッチとは少し趣きを変えて、TALKS AT GSにパネル出演した際の内容から、ハワード・マークス氏の投資に関する教えを学んでいきたいと思います。
マークス氏自身はバリュー投資家であることから、マーケットの先行きを読んで投資をするということはしていませんが、長年に渡ってマーケットを見てきた経験から、割高・割安には程度問題があり、その程度が重要であるという教えを述べました。
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割安・割高の程度が極端であるほど、その修正は起こりやすい
マークス氏の述べたポイントは、割高・割安の程度が少しであれば、
銀行破綻への対応で、FEDは実質的に量的緩和を再開している
シリコンバレー銀行などの破綻を受けて、混乱が広がらないように、FEDは新たに「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」という金融緩和プログラムを実行しています。
結果、FRBは量的引き締めを行なっている中ですが、逆に保有資産が拡大するという事態を招いています。
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銀行破綻に対応したBTFP(バンク・ターム・ファンディング・プログラム)とは
BTFPとは、
サマーズ氏:FEDはインフレ警戒を緩めてはならない
FOMCを受けて、CNNの番組で元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がコメントしていました。
サマーズ氏は、FRBの対応について「合理的だ」と評価した上で、インフレへの警戒を緩めてはならないという旨の発言をしました。
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FEDは正しい決定を行った
先日のFOMCでは、0.25%の利上げが決定されました。
* FOMCは0.25%の利上げ、今後の利上げには慎重な鳩派姿勢が示された
この利上げについて、ラリー・
日本のインフレは減速へ:PPI、東京CPIに続き、全国CPIでもインフレ率が低下
3月24日(金)に日本の全国消費者物価指数が発表されました。
結果は、CPIの前年比が+3.3%で、前回の+4.3%から1.0ポイントの低下となりました。東京消費者物価指数の発表以降、本ニュースレターでは原油価格の前年比が有利に出やすいのと円安の揺り戻しでインフレが減速しやすいという見方を伝えてきましたが、全国消費者物価指数でも同様の事象が確認できています。
* 東京都の消費者物価指数(2月)、全体はインフレ減速もコアコアは加速
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