2023年2月発表の米国雇用統計は予想を大幅に上回るも、賃金インフレは低下中
先週金曜日に発表された米国雇用統計は非常に強い内容でした。
- 雇用者数:
前月比で+517,000人、予想の+190,000人を大きく上回る - 失業率:
3.4%とコロナ以前よりも低い水準まで低下 - 賃金:
前年比+4.4%と上昇率は低下傾向だが、サービス業の賃金は前年比+7.0%
それぞれ詳しく見ていきたいと思います。
米国雇用統計は予想を大きく上回る、517千人増
2023年2月3日に発表された1月分の米国雇用統計では、雇用者が517,000人増でした。これはコンセンサスの190,000人増を大きく上回る数値でした。
昨年6月以来の強い雇用統計であったことが分かります。
失業率3.4%はコロナ前を下回る水準
失業率も3.4%と非常に低い数字でした。これはコロナ前すら下回る水準です。
1月は、Googleなど大手テック企業をはじめとしたリストラのニュースが吹き荒れていましたが、雇用市場全体としては非常に強いと考えを改めさせられました。
賃金インフレは収まりつつあるが一時的か
賃金の上昇率は、前年比で+4.4%でした。以下のグラフを見ていただくと、賃金インフレについては、収まりはじめている様子が確認できます。
前月比のグラフで確認しても、賃金の上昇率が再加速している様子は見られません。
もしもパウエル議長がこうした雇用統計の数字も事前に認識していたのであれば、雇用や経済が強いまま、インフレが収まりつつある状況に対して、自信を深めていたのも頷けます。
今日は一度も「痛み」という言葉を(パウエル議長の口から)聞かなかった。彼が自信がある理由は、みんなも知っている通り、CPIが低下しているからだろう。
注意が必要だとすれば、こうした賃金インフレの低下は、高給取りであるテック業界や金融業界でリストラが相次いでいることによるもので、サービス業の雇用者等の賃金上昇率は低下が止まっているということです。
つまり、賃金が高い人が解雇されて、賃金が低い人が人手不足でどんどん雇用されているため、全体の平均をみると時給の伸びは低下しているけれど、賃金が低い人の時給は今でも前年比+7%といった水準で伸びているということです。
テック業界や金融業界のリストラが一段落すると、また賃金インフレが加速を始める可能性があります。言い換えると、今の賃金インフレの低下は一時的かもしれないということです。
結論
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