東京都の物価指数は前年比+4.3%で、日本のインフレは加速中
しばらく米国の話題が多かったため、日本については書いてきませんでしたが、銀行株のロングポジションは継続保有しているため、日本の状況もウォッチしておきたいと思います。
以前も書いたように、銀行は日本の長期金利が上昇すると儲かるため、銀行株のロングポジションを継続するかの判断にあたっては、日本の長期金利の展望が重要です。そして、長期金利に影響を与えるのが日本の物価、つまりインフレです。インフレが続くのであれば長期金利はいずれ上昇するし、インフレが収まるのであれば長期金利はそれ以上、上昇する必要がないからです。
直近、日本の物価に関する指標を確認すると、東京消費者物価指数(生鮮食料品除くコア)は前年比+4.3%と加速しており、日本のインフレはまだ収まる気配はありません。そのため、国内銀行株のロングポジションは今のところ継続する予定です。
東京消費者物価指数(生鮮食料品除くコア)は前年比+4.3%に加速
東京消費者物価指数(生鮮食料品除くコア)は、前年比+4.3%でした。これはコンセンサスの前年比+4.0%を上回る数値であり、前回の+4.0%(修正値は+3.9%)からも加速しています。つまり、少なくとも東京においては、インフレは加速しているということです。
前回分は、以下のニュースレターをご覧ください。
アメリカでは、FEDが「インフレは一時的だ」と言っていた2021年4月頃のインフレ率がちょうど前年比+4%台でした。
日本は人口動態的にもアメリカほどインフレが起こりやすい体質の国ではないと思いますが、少なくともインフレ率が目下加速しているのは事実であり、長期金利には上昇圧力が働きやすいでしょう。
相次ぐ賃上げのニュース
日本では、物価インフレが賃金インフレへと波及し始めています。そうすると、賃金上昇がまた物価上昇に繋がるインフレのスパイラルに入る可能性があります。
これは現役世代にとっては、そんなに悪いことではない一方で、日本の人口の多くを占める高齢者にとっては預金の価値が目減りしていくので大きな問題です。インフレ・スパイラルが起こるのであれば、日銀はいよいよ本気でインフレ退治、つまり利上げに取り組む必要に迫られるでしょう。
例えば、日経新聞は2月1日にイオンの賃上げを報じています。
イオンはパート約40万人の時給を平均7%上げる。上げ幅は4%の物価上昇率を上回る。時給は平均で約70円上がり、パートの年収は約8万円増える見通し。
1月31日にはトヨタの賃上げのニュースを共同通信が報じています。
トヨタ自動車労働組合は31日、2023年春闘要求の執行部案を説明する記者会見を愛知県豊田市で開いた。物価高を踏まえ、おおむね過去20年で最も高い賃上げ水準を求めると説明した。要求に基本給を底上げするベースアップ(ベア)相当分を含むことも3年ぶりに開示。
さらに、1月30日には朝日新聞がオリエンタルランドの賃上げニュースを報じています。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは30日、パートやアルバイトを含む従業員の賃金を平均約7%引き上げると発表した。4月1日から。
ユニクロの賃上げについては、以前ニュースレターに書いた通りです。
日本の長期金利は再び0.5%に接近中
日本の長期金利は、前回の日銀金融政策決定会合で10年金利の変動許容幅が拡大されなかったことで、一時的に低下していましたが、直近は0.49%と0.5%に再度接近しています。
以前のニュースレターに書いた通り、インフレが収まらない限り、長期金利の上昇は時間の問題だと思います。
インフレが加速すれば金利が上がるのは自然の摂理であり、日銀といえども、いつまでも抑え込むことはできません。インフレが続く中で、いつまでも金融緩和を続けていると、国債のほとんどを日銀が買い占めてしまったり、強烈な円安を招いてしまうなどの弊害が出てくるからです。日本国内のインフレが収まらない限り、長期金利の上昇はシンプルに時間の問題だと思います。
結論
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