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個別株投資で超過リターンを得るには、自分が「指名買い」しているものを考える

普段はマクロ投資について書いていますが、ちょうどマクロ経済環境について書くことがないため、今回は少し趣向を変えて、個別株投資について書きます。

個別株投資で超過リターンを得られるのはなぜか


個別株投資で超過リターンを得るのであれば、どうしてインデックスに勝てるのかという点について、しっかりとした理屈が必要でしょう。そうでなければ、ただのギャンブルに過ぎないからです。

個別株投資において、インデックス投資を上回るパフォーマンスを出しうる理屈は、トレーディングを除くと、基本的には以下の2つだと思います。

  1. ミスプライスされている可能性が高いから
    個別株、特に中小型株においては、きちんと多くの投資家が日々ウォッチして適正なプライスをつけているわけではありませんから、大きく割安で放置されている場合もあります。こうした企業の株式を買うことで、フェアプライスに戻る過程で稼ぐことができます。いわゆるバリュー投資です。
  2. ROEが市場平均を上回るから
    長期投資の魅力は、企業による利益の再投資にあります。ROEが20%で、PERが20倍の企業を考えてみてください。最初に企業の株式を買うときは、PER20倍ですから利回りは5%です。しかし、企業が稼いだ利益を事業に再投資する場合は利回りは20%です。企業が事業に再投資する利益というのは大した額ではありませんが、年々福利で増えていきます。このROE相当の利回りで回る部分が増えていくことが長期投資の魅力であり、この部分が市場平均を上回り続けると、インデックスのリターンを超えられる可能性が高いわけです。これがバフェット流の長期投資です。

高ROEの株式を持つのが効率的


さて、銘柄探しや分析の時間がしっかり取れる方であれば、ミスプライスを探す投資方法が良いでしょう。株式投資家が短期間で大きなお金を稼ぐケースは、基本的にこのパターンです。そのため、株式投資で短期で大金持ちになるぞ!という方は、トレーディングをするかバリュー投資をするしかありません。

一方、この方法は膨大な時間や努力を注ぐ必要があります。一度、良い銘柄を見つけて、適切なタイミングで購入できたとしても、ミスプライスが解消されたら、それ以上の超過リターンはありませんから、売却して、次の割安銘柄を探さなければなりません。副業で投資をしている人では、到底時間が足りないでしょう。

その点、企業の事業再投資から高ROEの利回りを得る方法は、市場平均を上回るROEを出し続けるであろう企業を適切なバリュエーションで購入できてしまえば、あとはその企業のROEが維持されている限り、ホールドするだけであり、非常に効率的です。そのため、僕自身は個別株投資を行うときは、こちらの方法に沿って、投資を行っています。

高ROEを維持できる企業は「指名買いされる商品やサービス」を持っている


株式市場のリターンは、基本的に年率7%〜10%程度ですから、「利益を事業に再投資して成長する余地がある」&「15%以上のROEをずっと維持してくれる」ような企業に投資できれば、自然と市場平均のリターンを上回っていくでしょう。

では、15%以上のROEをずっと維持するような企業とは、どんな企業でしょうか。それは、ひとことで言えば、指名買いをされるようなサービス・商品を保有している企業です。

他と常に比較されるような商品・サービスであれば、価格競争に巻き込まれて、利益が圧迫されて、すぐに平凡なROEしか出せなくなるでしょう。しかし、指名買いされるような商品・サービスであれば、他と比較されないわけですから、苛烈な価格競争に巻き込まれることもありません。こうした強みを「ブランド」と呼ぶ人もいますし、バフェットは「モート(= 堀)」と呼んでいます。

さて、このような「指名買いされる商品・サービス」を見つけるための一番簡単な方法は何でしょう。それは、自分自身が指名買いしている商品・サービスを探すことです。僕の場合は、以下のようなものがあります。

  • スターバックスのコーヒー
  • アップルのiPhone
  • グーグルの検索エンジン、YouTube、アカウント(Gメール、スプシなど)
  • ユニクロの服

「安いからドトールに行こう」、「エクセルシオールの方が近いから、こっちでいいや」といった妥協をすることはなく、スタバに毎日入ります。

「Androidのスマホが安いからそっちにしよう」ということはなく、必ずアップルのiPhoneを買っています。

「検索するたびに1円くれるならBingで検索してみようかな」ということもないし、「今日はセールしてるから、GAPでTシャツを買おう」ということもありません。ユニクロのエアスリム生地のTシャツを指名買いしています。

これらの商品やサービスがもしも無くなった場合、代替品がないため、僕の生活は露骨に満足度が下がると思います。

一方で、毎日のように使っているけれど、別に指名買いしていないものもあります。例えば、僕は毎日のようにネットフリックスを見ますが、それはデザインが多少良かったりする程度で、ネットフリックスがなければ、あるいはネットフリックスが他の1.5倍や2倍といった値段がするなら、PrimeビデオやDisney+に乗り換えるでしょう。このように「毎日使っているもの」と「指名買い・依存しているもの」は違うため、自分が単に毎日使っているのか、依存して指名買いしているのかを丁寧に考える必要があります。

また、僕たち人間は「いま一時的にハマっている」という状態がありますから、長期にわたって高ROEを出すような企業を探すためには、一時的にハマって指名買いしているだけのものを省く必要があります。上にあげた事例は、すべて僕が7年以上は指名買いを続けているものであり、一時的にハマっているものではありません。

結論


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