ガンドラック氏:3月FOMCの0.25%が最後の利上げになる
ガンドラック氏はCNBCの番組に出演して、今後の利上げの見通しについて、次回の0.25%が最後の利上げになるだろうと述べました。
次回のFOMCでは0.25%の利上げが行われる
直近は、シリコンバレー銀行の経営破綻などを受けて、米国債金利は急速に下落してきました。特に短期金利が大きく下落したことで、以下のニュースレターにも書いた通り、景気後退が強く意識されています。
過去の金利推移を見ても、短期金利と長期金利が逆イールドから元に戻った後には景気後退(グレーの網掛け)入りしていることが多いことが知られています。今回のSVB破綻をきっかけに短期金利が下落して逆イールドが解消に向かい始めていますから、景気後退を警戒するのは自然だと思います。
そのため、次回3月22日のFOMCにおいて、利上げが行われないのではないかと考える市場参加者も出てきています。以下は、次回FOMCにおける利上げ幅の市場予想ですが、これを見ると、0.25%の利上げが8割、0%の利上げが2割となっています。
ガンドラック氏は、債券投資家であるため、この予想に忠実に0.25%の利上げが行われるだろうとしています。
現時点では、とりあえず0.25%だけ利上げをするだろう。色んなことが急速に展開しているため、何が起こるか分からないが、0.50%の利上げはないと考えている。利上げがないと考えている人もいるが、権威性を維持するためには0,25%の利上げを行うだろう。
次回が最後の利上げになる
また、ガンドラック氏は、次回の利上げが最後になると述べました。
私は、それ(0.25%)の利上げが最後の利上げになると考えている。
0.25%の利上げが行われると、FF金利は4.75%〜5.00%になりますから、これで利上げが打ち止めになれば、年初に「FF金利が5%を超えることはない」としていた予想がぴったり当たったことになります。
米国債で最も金利が高いのは期限6ヶ月の債券で4.8%だ。FEDが5%以上に利上げすることはあり得ない。金利をコントロールしているのはFEDではない。金利をコントロールしているのは債券市場だ。
市場参加者の間では、5月にもう一度だけ0.25%の利上げが行われて、FF金利は5.25%まで上がるという予想が多数派であり、ここはガンドラック氏のオリジナルな予想となっています。
なお、市場参加者のコンセンサスは、この後の6月FOMCで0.25%の利下げが行われて4.75%〜5.00%に戻るというもので、それであれば、確かに5月の利上げは必要ないのではと考えることもできるでしょう。
ハイイールド債やジャンク債の借り換えが進まずに景気後退へ
利上げがこれで最後になるだろうとガンドラック氏が考えている背景に、ハイイールド債やジャンク債の借り換えが進まない可能性があります。
昨年の急速な利上げによる高金利と、直近のシリコンバレー銀行の経営破綻等を受けた銀行の貸し渋りによって、ハイイールド債のデフォルトが進み、景気後退に陥るという考え方です。
信用の低いジャンク債や銀行融資についての理解は、低金利が前提とされている。だが、今は金利が上がってしまったので、借り換えは難しくなるかもしれない。(中略)。私が思うに、急速に短期金利が上昇したことと、銀行システムに明らかに負荷が掛かっていることを考えると、信用の低い債権については、強く憂慮すべきだ。
ガンドラック氏は、銀行の融資基準が厳格化されると、ハイイールド債のデフォルト率が上がるという相関関係を以前も指摘していました。
以下は、上のニュースレターでも引用した、銀行の融資基準とハイイールド債のデフォルト率の相関関係を表したグラフです。
銀行の貸出基準の厳格化率は、直近でも上昇を続けており、44.8%まで上昇しています。
これは過去のリーマンショックやコロナショックで景気後退入りしてきた水準です。シリコンバレー銀行の破綻などの影響を考えると、この基準は今後さらに引き締まることはあっても、緩むことはないでしょう。
ハイイールド債ではありませんが、地銀などの銀行が貸し渋りを行うことの影響は、大手住宅建設会社であるレナー社のCEOも警戒していたところです。