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サマーズ氏:FEDはインフレ警戒を緩めてはならない

FOMCを受けて、CNNの番組で元財務長官でマクロ経済学者のラリー・サマーズ氏がコメントしていました。

サマーズ氏は、FRBの対応について「合理的だ」と評価した上で、インフレへの警戒を緩めてはならないという旨の発言をしました。

FEDは正しい決定を行った


先日のFOMCでは、0.25%の利上げが決定されました。

この利上げについて、ラリー・サマーズ氏は以下のように述べて評価しました。

難しい選択肢の中で、FEDは正しい選択をしたと思う。利上げをする計画があったにも関わらず、利上げを停止するようなことがあれば、パニックや警報をシグナルすることになってしまうリスクがある。もしもFEDがそこまで警戒していたら、マーケットも同様に警戒を強めてしまうだろう。だから、予定通りに利上げをするのはマーケットが期待していたことでもあり、正しいことだったと思う。

また、声明文の中で、今後の見通しの難しさについて述べたことも、サマーズ氏は高く評価しています。

FEDが将来の不確実性について重大な懸念をシグナルしたことも正しかったと思う。私であれば、直近のインフレ関連データの強さを受けて、インフレの懸念についてもう少し述べ、あと複数回の利上げ余地を残しただろう。しかし、FEDは私の考えと非常に近く、彼らの決断は完全に合理的だった。

今回、FEDはあと一回の利上げを見通しとして示した上で、シリコンバレー銀行の経営破綻に始まった混乱を受けて、必要であれば金融緩和も辞さない姿勢を示したので、将来の先行きが不透明な中で、十分な選択肢を確保できた点が評価に値するということでしょう。

インフレ警戒に重きを置くサマーズ氏


サマーズ氏がFEDと唯一意見が違ったところがあるとすれば、それはあと複数回の利上げ余地を残しておくべきだったという点です。

以前にも書いたように、3月〜5月は前年の原油価格がウクライナ戦争開始の影響で高騰していたため、全体のインフレ率が低く出がちです。しかし、5月を過ぎると、またインフレは下げ渋りを見せるでしょう。

インフレ率がある程度下がってからの、もう一段のインフレ減速が難しいことについては、サマーズ氏自身が過去に語っています。

個人的には、このサマーズ氏とFEDの差は些細なようで大きいように思います。

というのも、FEDは現時点では選択肢の幅を広げることに集中すれば良いので差異は小さいようにも思えますが、最終的には、景気後退とインフレが同時に訪れたときに、景気後退対策の金融緩和を取るのか、インフレ対策の利上げを続けるのか、そこが今後数年のアメリカ経済の最大の分岐点となるからです。

サマーズ氏の語り口からは、インフレ対策の利上げを迷わずとるべきだという考え方をしていることが伝わってくるのに対して、FEDは良くも悪くも柔軟で、前者を選択してしまいそうな雰囲気が伝わってきます。これが前回のFOMCを鳩派転換だと僕が書いた理由です。

結論


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