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東京都は引き続きインフレ減速も、食料品や家具家電で値上げが見られる

3月31日に発表された2023年3月の東京都消費者物価指数は、前年比+3.3%で前回から0.1ポイント下落しました。

インフレが減速した主な理由はエネルギー価格が前年比で下落しているためです。一方で、エネルギー価格と生鮮食品を除いたインフレ率をみると、前年比+3.4%に加速しており、今後も注目が必要です。

東京都のインフレ率は前年比+3.3%まで減速


少し前ですが、3月31日に発表された、東京都の2023年3月の総合インフレ率は前年比+3.3%で、前回の+3.4%から0.1ポイント低下しました。

東京都物価指数(2023年3月分まで)/ 総務省統計局

前回の東京都物価指数をお伝えした際に、3月〜5月はエネルギー価格が前年比で下落しやすいので、インフレ率は減速するだろうということをお伝えしており、その通りの展開となっています。

インフレ率は前年比で見るため、昨年の原油価格が高かった分、今年の2月〜6月頃にかけては、エネルギー価格は大きなデフレ要因となります。エネルギー価格のデフレは、その他のインフレを今後もある程度まで相殺してくれるでしょう。
2月の前年比は-16%程度ですが、昨年3月に原油価格が110ドルといった水準をつけていたことを考えると、原油価格が80ドル程度のまま推移すれば、3月のエネルギー価格は前年比-27%程度になると考えられます。

原油価格の推移は、ドル建てですが、昨年から以下のように推移しています。

原油WTI価格推移(2022年1月〜2023年4月)/ FRED

今年3月にはシリコンバレー銀行の経営破綻等を受けて、景気後退への懸念から一時60ドル台まで下がりました。その後、OPECの減産報道などもあり80ドル台に戻しています。

結果、3月の原油価格の前年比は一時-38.9%という水準まで下落しました。

今後についても、昨年12月頃から70ドル〜80ドルで推移してきた範囲を上に突き抜けることがなければ、原油価格は引き続き、インフレ率の減速に寄与すると考えて良いでしょう。

日本のインフレ率は下げ止まり感も見られる


エネルギー価格の下落がインフレ率の減速に寄与する一方で、非生鮮食品価格などの上昇を受けて、インフレ率は下げ止まり感も見られる展開となっています。

改めて、先ほどの数値を見てみると「総合」が前年比+3.3%に下がる中、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」は前回の+3.1%から+3.4%へと加速を続けています。

東京都物価指数(2023年3月分まで)/ 総務省統計局

今回、何が「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」の前年比加速に寄与したかを見てみると、以下のような項目が見られます。

  • 生鮮食品を除く食料(前年比+8.1%、ウェイト21.4%)
  • 家具・家事用品(前年比+9.1%、ウェイト3.3%)
  • 被服及び履物(前年比+4.3%、ウェイト3.7%)

3月の「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」が加速した原因は、賃金インフレ等に伴うサービス業の値上げではなく、物の値上げだったといえます。4月からの賃上げに備えた値上げの可能性もありますが、これらが一過性のものか、今後加速するのか、引き続き注目する必要があるでしょう。

結論:現時点で日本に対する何らかのポジションを取るのに十分な情報はない


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