2023年5月上旬現在、検討しうる3つの投資アイデア
最近は、ポートフォリオのサイズを小さくして様子見をしていることは、すでに何度もお伝えしてきた通りです。
この様子見はまだしばらく続くと思いますが、何か相場でトレードしていないと気が済まない方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は待機資金の一部を使ってポジションを取ることを検討しうるアイデア候補を3つほど書いてみたいと思います。
なお、現時点(2023年5月3日時点)では、筆者自身はまだいずれのポジションも取っていませんし、今後取るかどうかも決めていません。あくまでもアイデアだということでお読みいただければと思います。
日本債券のショート
まずは、日本の金利上昇にかけるトレードアイデアが考えられます。日本のインフレが続けば、いずれ日本でも金利を上げざるを得ないでしょうし、黒田総裁も退任したため金融政策の見直しが行われる確率も上がっているためです。
このアイデアについては、4月下旬の以下のニュースレターで触れました。
日本の金利上昇からリターンを得るのにどのようなポジションが良いかを、上のニュースレターを出したあとも考えていましたが、結果として、(信用取引などを使うのでなければ)やはり日本債券ベア5倍ファンドしかなかろうと思うに至りました。
日本債券ベアファンドは、日本の10年国債を5倍のレバレッジをかけてショートするというものですが、レンジで動いている間は減価していくという、レバレッジ商品特有のデメリットがあります。
例えば、昨年の12月に黒田総裁が長期金利の上限変動許容幅を0.25%から0.5%に引き上げた際には大きく上昇していますが、レンジ相場における減価によって、その時の利益はすでに失われており、上限変動許容幅の変更前よりも低い価格水準で推移しています。
日本の長期金利は現在0.41%であり、元々の0.25%から上昇しているのに、ファンド価格の方は0.25%のときよりも下がっているわけですから、いかに減価が激しいかが分かります。
そのため、日本債券5倍ベアファンドに投資する場合、なるべく0.25%に近い水準で購入して、0.50%近い水準まで上昇したときには一部を利確する、それをまた0.25%付近での買い増しに回すという、こまめなトリミングによって、減価の悪影響を取り除く必要があるでしょう。
幸いにも、本ファンドは申込時も解約時も手数料が掛からないため、運用の手間さえ許容できれば、現実味はあります。そのため、日本の長期金利が0.25%近い水準まで下がってくるタイミングがあれば、本アイデアについて実行を検討したいと思います。
米国不動産セクターのショート
現在、アメリカでは利上げが行われており、今のところは5月の利上げを最後に5.25%でFF金利は水平飛行に入ると考えられています。ただし、インフレ率はまだ5%近くあることを考えると、目先すぐに利下げにまで進むことは考えにくいです。
一方、債券市場は2年債の金利は3.9%とFF金利を大きく下回っており、債券市場はわりと早期に利下げが始まることを織り込んでいます。
そうすると、目先はFF金利が5.25%で長期間維持されるという見通しが織り込まれる過程で、米国2年債や10年債の金利がいくらか上昇する可能性が高いでしょう。
金利の上昇は、債券や株式、ゴールドやビットコインなど多くの資産にとってマイナスですが、不動産セクターの株式にとっても資金調達コストの上昇と保有資産価値の下落を意味するので、当然マイナスに働きます。
一方、債券市場の予想が正しく、早期に利下げが行われるシナリオがどんなときに実現するかを考えると、それは地銀の破綻から信用収縮が起こり、アメリカの経済が崩壊してしまった場合でしょう。そのとき、不動産セクターが大きなダメージを被る可能性は非常に高いです。
つまり、不動産セクターは、経済の名目成長が続くシナリオにおいては金利上昇の悪影響を受けるし、経済危機が起きて金利が下がるシナリオにおいてはその経済危機の影響を大きく受けるであろうと想像できます。
そのため、米国株全般のショートと比べると、不動産セクターの方がいくらかショートの確度は高いといえるえしょう。
大企業の社債
ハイイールド債やジャンク債は避けるのが無難ですが、大企業の社債の中にも利回りが比較的高いものがいくつか出てきています。例えば、マネックス証券の取り扱っている社債を見てみると、残り4年11ヶ月で4.47%、残り10ヶ月で5.1%などの社債があります。
MMFよりも高い4%台後半の利回りが約束されていて、満期まで保有すればキャピタルロスの心配もないため、アップサイドはないですが、一部の待機資金を使ったお茶を濁す程度の投資としては検討しうるでしょう。
結論:基本は様子見のスタンス
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