ガンドラック氏:FEDの予想する年末インフレ率3%は実現できず、インフレは高止まりする
引き続き、FOMC後のガンドラック氏のCNBCインタビューの内容をお送りしたいと思います。
インフレは簡単に収まらない
まず、ガンドラック氏は、この先インフレ率が順調に減速することはないと指摘しています。
パウエル議長が「インフレーションは以前考えていたいたほど早く減速しないかもしれない」と言ったのは興味深かった。覚えているだろうか、(FEDの予想する)ドットプロットは年末にインフレ率が3%程度に下がると予想していた。私にはそれが実現するとは思えない。そして、(会見では)パウエル議長もその予想にもはや自信を持っていないように聞こえた。
これはガンドラック氏が以前から指摘していることで、彼は年初の時点からインフレは前年比+4%程度で下げ止まると予想していました。
いま、消費者物価指数は4月に発表された3月の数値が+5.0%程度であり、5月10日に発表される4月の数値も+5.0%と横ばいが予想されています。
そうすると、インフレは昨年の7月から順調に減速してきましたが、ついに下げ渋りが見られる展開に入ることになります。
コモディティ価格は下落してきた
これまでインフレが順調に減速したのは、コモディティ価格が下がってきたからです。ガンドラック氏は、以下のように指摘します。
コモディティ価格はここ数ヶ月の間、非常に弱く、年初来でマイナスであることを考えると、インフレーション率が下がってくるという自信を深めるかもしれないが、それは現実には起こっていない。
例えば、原油価格をみると、昨年の3月から5月にかけてウクライナ戦争の影響もあって高値をつけた後、大幅に下落してきました。
これをインフレ率と同じ「前年比」という形でみると、以下のようになります。
今年に入って、原油価格はインフレ減速どころか、前年比でマイナス、つまりデフレ状態にあったわけです。これが3月〜4月末にかけては、インフレ減速と金利低下を見込んで、比較的強気にポジションを構築していた理由でした。
実際、インフレ率は3月分ではぎりぎり4%台に入るまでに順調に減速してきました。
サービス価格のインフレは減速していない
一方で、サービス価格のインフレは減速していません。ガンドラック氏は、以下のように述べています。
サービスのインフレ率は非常に高い。物のインフレ率をみると、パンデミック前の水準に戻っている。前年比ベースでは物のインフレは終わっているが、サービスのインフレ率は空の上だ。だから、コモディティ価格が下がっても、インフレ率が下げ渋りを見せている。
サービスのインフレ率はピークを超えた感は出ているものの、いまだに前年比+7.1%という水準にあります。
その背景には、賃金の上昇が続いていることがあげられます。サービス産業のコストは主に人件費によるので、人件費が上昇する間は、サービス産業の価格も下がらないからです。
先日の雇用統計でも、賃金インフレ率は4%台でまだまだ強いことが再確認されました。
基本的にインフレ率は4%程度がしばらく続くでしょう。
リスク資産の価格は下落する
こうした状況で、金利は地銀の破綻に見られるように、経済が耐えられない水準になりはじめています。
先行経済指標とハイイールド債スプレッドの相関関係は高いことが知られているが、今は相関関係が薄れている。経済指標は、ハイイールド債スプレッドがもっと上昇すべきだということを示している。
また、ハイイールド債のデフォルト率と連動する融資環境は銀行破綻を受けて悪化が加速している。今年の4Qには低クオリティ債券のデフォルトは劇的に増加するだろう。債券のデフォルトや低品質な債券のスプレッドが拡大しているとき、株式が上昇することは難しい。明らかに、株式市場は債券市場の子どものようなものであり、債券市場が苦しんでいるなら、株式は大きな向かい風を浴びることになる。
会社が破綻した場合、債券投資家は株式投資家に優先して会社から資金を回収できます。会社のデフォルト率が上昇して、社債の利回りも上昇しているのであれば、株式よりも社債に投資する人が多いでしょうから、株式市場の魅力は相対的に低下します。
債券も株式も下がるが、株式は債券に劣後するので下落余地はさらに大きく、強気になる理由が見当たらないというのがガンドラック氏の指摘です。
結論:株式の下落を待つ
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