目先の投資戦略を再整理する
本日は、少し早いですが6月以降の投資戦略について考えたいと思います。
3月〜5月相場のふり返り
まず、まだ5月は終わっていませんが、3月〜5月の相場をふり返っておきましょう。
本ニュースレターでは、2月末に米国10年国債金利が4%近くなったことから、米国債の買い増しを行ったことをお伝えしました。
今回、米国長期金利が4%近い水準に達したということで、債券の買い増しを開始しました。
その後、3月には昨年ウクライナ戦争で原油価格が高騰していた反動で、今後数ヶ月はインフレ率が順調に低下する可能性が高いことから、金利低下の恩恵が受けられる債券をメインに、ポートフォリオのサイズを拡大するという判断を取りました。
昨年3月に原油価格が110ドルといった水準をつけていたことを考えると、原油価格が80ドル程度のまま推移すれば、3月のエネルギー価格は前年比-27%程度になると考えられます。
長期金利が4%に達しており、FF金利は6%になるのではという話まで出てきている今のムードは、少し行き過ぎており、今後数ヶ月は金利が低下しやすいでしょう。そこで、2月はポジションを落として守りに徹していましたが、3月〜5月は積極的にリターンを狙いにいこうと思います。
その後、3月中旬にシリコンバレー銀行の経営破綻に端を発する地銀の破綻ラッシュが続いたため、金利は大幅に低下しました。
2023年2月には4%近くに上昇していた長期金利は、その後3.4%程度まで急落しているのがお分かりいただけると思います。
結果、「3月〜5月は金利が低下しやすい」として取ったポジションは、3ヶ月間をかけて徐々にという形ではなく、実際にはわずか数週間のうちに、その目的を達してしまいました。
そのため、4月の中旬には、債券市場が(当初は数ヶ月かけて織り込むと想定していた)目先の金利低下を十分に織り込んでしまったことから、逆に動くリスクが高まったとして、ポジションサイズを縮小することを検討しはじめました。ポジションサイズの縮小というアイデアを初めてお伝えしたのは、以下の4月14日のニュースレターになります。
実際にポジションサイズの縮小を開始したことを、4月27日のニュースレターでお伝えしました。
その後は、債券メインに、株式やゴールド、仮想通貨を保有しているものの、ポジションサイズは小さめにしていることを継続してお伝えしています。
今後の金利動向
では、今後はどう動くのかということですが、結論からいうとよく分かりません。
米国のインフレ率は、下げ渋りを見せはじめる可能性があるものの、基調としては減速トレンドにあります。そのため、FEDがさらなる利上げをする必要性は薄いと思います。一方で、インフレ率は2%が目標ですから、まだ目先は利下げというフェーズではないでしょう。
一方、現在の債券市場は年内に3回の利下げが行われることを織り込んでおり、やや行き過ぎであるように思えます。
そのため、現在の債券ポジションは、目先に利益を生むポジションというよりは、あくまでも景気後退時のヘッジのようなものとなっています。
とはいえ、地銀が次々と破綻している今の環境で米国債によるリスクヘッジをせずに、株式やハイイールド債などのリスクアセットを買い進んでいける投資家は少ないでしょう。だからこそ、FF金利に金利が負けているのに米国債は買われているわけです。
目先のリターンはどこから得るか
米国債で「景気後退時に利益を得られる」、あるいは「ヘッジとなる」ようにしておくとして、目先はどこからリターンを得るかという課題があります。これは非常に難しいです。
S&P500のPERは18.42倍で、1年前の20.48倍からすると、いくらか割高感は薄れています。とはいえ、景気後退リスクもあり、FF金利が5.25%もある状態で、PER18.42倍というのは決して割安ではありません。
配当利回りも1.67%と1年前の1.53%からは上昇していますが、何度もいうようにFF金利は5.25%、ほぼ無リスクの米ドルMMFで4%程度の利回りがありますから、割安感はありません。
そうすると、米国株も(米国債による景気後退リスクのヘッジとあわせて)多少は保有するものの、あまりポジションを大きくしたいとは思いません。特にキャッシュフローが常にプラスの大型株はまだしも、景気敏感株は避けるべきでしょう。
ガンドラック氏は、不動産ローン担保証券が割安であるとして勧めていましたが、個人が投資できる不動産ローン担保証券のETF($MBB)は、株価は直近安定しているものの、配当利回りは2.7%程度であり、そこまで魅力的には見えません。
ゴールドや仮想通貨も保有していますが、これはドル安やインフレ時に大きく儲かるようなポジションであり、目先のステーブルなリターンを期待するポジションではありません。
米ドルMMFで無リスクで4%程度のリターンが得られる中で、それを上回るような魅力的なリターンを安定的にもたらしうるような投資妙味のある領域というのは、なかなか見つかりません。
ドラッケンミラー氏が休むも相場だというのも頷けます。
結論:ポジションサイズの縮小を続ける
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