日本の消費者物価指数は前年比+3.5%へとインフレ加速
5月19日発表の国内消費者物価指数は前年比+3.5%で、国内のインフレが再加速していることを示しました。日本の金利には上昇圧力が働くこととなるでしょう。
日本の消費者物価指数(CPI)は前年比+3.5%
2023年5月19日に発表された国内の消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.5%でした。前回の+3.2%からは0.3ポイントのインフレ加速となりました。
総務省の発表している元データも確認しておきましょう。
表の一番右にある4月分を見ると、以下のようになっています。
- 総合が+3.5%(前回から0.3ポイントの加速)
- 生鮮食品を除く総合が+3.4%(前回から0.3ポイントの加速)
- 生鮮食品及びエネルギーを除く総合が+4.1%(前回から0.3ポイントの加速)
3つすべての指標においてインフレ(消費者物価指数の前年比)が加速していることが分かります。
日本のインフレは再度加速基調へ
本ニュースレターでは何度もお伝えしている通り、今年に入ってインフレ率が抑えられていたのは、原油などのコモディティ価格が下落していたからです。
昨年120ドル近くあった原油が80ドルまで下がった場合、前年比は-33%となります。こうしたコモディティのデフレが、他のインフレを相殺して、全体のインフレ率を低下させていたわけです。
しかし、その間もコアコア(生鮮食品およびエネルギーを除く)のインフレ率は、以下のように上昇を続けていました。
また、ドル円が円高に巻き戻っていたことも、輸入物価の低下を通じて、国内インフレの減速に寄与していました。しかし、そうした円高への巻き戻しもダブルボトムをつけて、再度円安に向かっています。
根っこのインフレは進んでいた中で、原油などのコモディティ価格や円高の影響で見た目のインフレ率は相殺されて抑えられていたところが、ついに再加速を始めたというのが4月の消費者物価指数の内容になります。
5月はエネルギー価格が前年比で有利に出やすいため、また一服感が出ると思いますが、6月以降はまたインフレ率は加速していくでしょう。
日銀の対応が遅れるほど長期金利に上昇圧力
さて、総合のインフレ率が前年比+3.5%、コアコアのインフレ率が+4.1%であると書きましたが、日本の政策金利は0%で、長期金利も0.390%です。
このような金利もつかない状況ではインフレ負けして資産が減ってしまうので、不動産やドル、ゴールド、株などに変えようという動きが進んで、今後ますます円の価値は下がっていくでしょう。つまり、インフレが加速するということです。
こうした状況を防ごうと思うと、金利を上げる必要があります。日銀の対応が遅れれば遅れるほど、インフレは加速して、長期金利には上昇圧力が働くでしょう。
米国では、インフレは一時的だと中央銀行が勘違いして対応が遅れたために、最終的には5%以上にまで政策金利を上げることとなり、銀行の破綻などを引き起こしています。
インフレは一時的だと解釈した過ちや、十分に早期に利上げを開始しなかった過ちが、急速な利上げという結果につながり、今回のような事故につながった。
日本も同様の道筋を歩み始めています。
結論:日本株ロングと日本債券ショート
※以下はニュースレター(無料)登録者向けの限定コンテンツです。