東京都物価指数(5月):日本のインフレ加速は継続中、長期金利は上昇へ
2023年5月26日に発表された東京都物価指数によると、日本のインフレが加速を続けていることが確認されました。東京都物価指数の「総合」は前年比+3.5%と前回の+3.1%から減速しましたが、これはエネルギー価格の下落が要因であり、「エネルギー価格および生鮮食品を除く総合」では+3.9%と前回の+3.8%から加速しています。
2023年5月の東京都物価指数
東京都物価指数は、月前半の数値を用いて発表されるため、全国の消費者物価指数が発表される前に、インフレの傾向を先取りすることができます。
一番右の2023年5月の数字は以下のようになっています。
- 総合:+3.2%(前回比0.3ポイントの減速)
- 生鮮食品を除く総合:+3.2%(前回比0.3ポイントの減速)
- 生鮮食品及びエネルギーを除く総合:+3.9%(前回比0.1ポイントの加速)
エネルギー価格が下がったため、インフレ率は「総合」と「生鮮食品を除く総合」について順調に低下しました。しかし、価格変動の激しい生鮮食品とエネルギーを除いたベースのインフレは加速していることがわかります。
ここ最近、日本のインフレが加速していることを繰り返しお伝えしてきましたが、それはまだ続くように見えます。
日本の長期金利は上昇する
さて、日本のインフレが加速すれば、日銀はいずれイールドカーブコントロールの撤廃に動くでしょう。
現在、日銀は長期金利を0.5%までに抑えるように国債市場への介入をおこなっているため、長期金利の天井は基本的に0.5%となっています。これを1.0%までなど、変動許容幅を拡大して、市場への介入を減らしていくということです。
黒田元総裁下の日銀はデフレ脱却を目標として、非伝統的な金融政策を次々と打ち出しました。イールドカーブコントロールや日本株ETFの購入などです。そのため、現在は伝統的な金融政策の上に、非伝統的な金融政策が乗っかっている状態です。
今度はインフレ対策が必要になってくるわけですが、オーソドックスな経済学者である植田総裁は、伝統的な金融政策である政策金利の利上げに取り組む前に、まず非伝統的な金融政策の撤廃から取り組んでいくことになると思います。短期金利を上げると預金への付与金利が上がって地銀が破綻するなど、その悪影響が米国で見られていますから、植田総裁もそこから手をつけたいとは思わないでしょう。
インフレ対策の最初の取り組みは、イールドカーブコントロールの修正・撤廃になるだろうということです。
結論:長期金利上昇にかけるポジションを増量
※以下はニュースレター(無料)登録者向けの限定コンテンツです。