ドラッケンミラー氏:景気後退で銅や住宅市場、AIに投資機会が訪れる
先週に引き続き、SOHN2023で行われたドラッケンミラー氏のインタビューの内容をお伝えします。今回は、ハードランディング後に何に投資をすべきかというテーマです。
銅(コモディティ)
まず、最初にドラッケンミラー氏があげたのが銅です。銅の需要はもっとも逼迫しているといいます。
景気後退から回復するときには、コモディティの黄金期が訪れるだろう。銅は最も需給がタイトであり、私も勉強をしている。私は阿呆ではないし、景気サイクルで何が起こるかを知っているから、ハードランディングに向かっている現時点でポジションを持とうとは思わない。しかし、そこから回復するときには、電気自動車への動きや政府が後押しするであろうインフラストラクチャ法案の支出を考えると、銅価格が大きなリターンを得られないと考えるのは難しい。
S&P Globalの予想をみると、今後急速に銅の需要(青線)が伸びていくことが分かります。これに対して、棒グラフが供給の予測であり、左側が野心的な目標を達成した場合、右側が苦戦した場合を表しています。
なお、銅価格は過去に以下のように推移しています。
なお、ドラッケンミラー氏は銅のアイデアについては、政策決定者の判断に影響されるとしています。
いつどのくらいを買うかは難しい。どの程度のポジションを取るかは、ハードランディングがあった場合の政策決定者の反応に影響される。何度も言うが、この予測は簡単ではない。
つまり、金融緩和やインフラストラクチャ法案による強力な財政支出があるなら銅は上がるが、政府や中央銀行がインフレを懸念して保守的な態度をとれば銅のブームは来ない可能性もあるということです。
住宅業界
続いて、住宅業界をあげています。
アメリカの住宅業界も興味深い。アメリカの住宅価格は5%の利上げを受けて大きく下落しているが、2007年や2008年とは違い、単体世帯向けの住宅における構造的な不足がある。だから景気が十分に悪くなった後には、大きなリターンを得る可能性がある。
アメリカは、リーマンショック以来、新規の住宅供給があまり行われてきませんでした。リーマンショック前に建てられた家はもう築15年になります。つまり、全体的に新しい家が足りていないということです。
成長株
最後に、成長株にも投資機会が訪れるだろうと予想しています。その中でも、ドラッケンミラー氏があげているのが「バイオテック」と「AI」です。
いつでも成長はある。バイオテックは過去3〜5年の間、大きくアンダーパフォームしてきた。しかし、がん治療や他の領域でも、とても多くの発展が見られている。先週のエコノミスト誌だったと思うが、ウイルスを使ってバクテリアを退治する治療薬についての記事があった。バイオテックも実りある領域となるだろう。
ドラッケンミラー氏は、テック成長株への投資は苦手だとしながらも、AIは大きく世界を変えるだろうと予想しています。
それから、もちろんAIがある。私は過去、流行に乗るタイプではなかった。ビットコインは底値で買ったが、ブロックチェーンについてあまり勉強しなかった。2000年のインターネットバブルでは頂点を買ってしまった。だが、AIは非常に現実的で、インターネットほどの革新になるだろうと考えている。2001年や2002年がテックカンパニーを買うための機会になったのと同じように、ハードランディング時には素晴らしい投資機会になるだろう。
実際、ドラッケンミラー氏は現在、ほぼ株式ポジションをネットゼロにしていますが、その中でもNVDIAやMicrosoftなどのAI関連株をロングして、他の株をショートするというロングショート戦略を行っており、AIへの投資を有言実行しています。
今後6ヶ月〜9ヶ月の政府やFEDの動きが重要
いずれにしても、これらに投資機会が訪れるのがハードランディングを受けて、FEDや政府が金融緩和・財政支出に向かった場合です。そうでなければ、深い景気後退が続く可能性もあるので注意が必要です。
この辺りは、以下のレイ・ダリオ氏のロジックを再度読んでいただけると理解が深まるでしょう。
結論:素晴らしい投資機会を前向きに待つ
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