米国雇用統計:5月は失業率がやや上昇
5月の雇用統計は失業率がやや上昇して3.7%となりました。今後、継続して上昇した場合は景気後退が強く意識されるでしょう。一方、賃金インフレは4%台で下げ渋りをみせています。やや、スタグフレーション的な状況が強まっているように見えます。
2023年5月の米国雇用統計では失業率が上昇
非農業部門の雇用者数は339,000人増えました。これは予想の190,000人を上回りました。
一方、失業率は3.7%となりました。これは前回の3.4%から0.3ポイントの増加となり、予想の3.5%も上回りました。
しかし、上のグラフを見ていただくと分かるように、3.7%というのは昨年にも8月と10月にタッチしている水準です。そのため、今回の失業率の上昇を持って、米国が景気後退に向かっていると判断するのは少し尚早でしょう。
一方、失業率が今後3.7%を超えて、4%に向かって上昇を続けることがあれば、市場では景気後退が強く意識される展開になると思います。その場合、金利は下がり、景気に敏感な業種の株式も下がるでしょう。
以前、ガンドラック氏の失業率と景気後退に関する発言をお伝えしました。
もしも失業率が12ヶ月移動平均を上回ったなら、景気後退は保証されたようなものだ。
現在、過去12ヶ月移動平均は3.6%程度ですから、もしもここから失業率がさらに上昇していく場合は「12ヶ月移動平均を上回り、景気後退を強く示唆している」と言えるでしょう。
賃金インフレの減速はゆるやか
続いて、賃金インフレの動向も見ておきましょう。時給は前年比+4.3%の上昇でした。
上のグラフを見ていただくと、前回からは少し減速していますが、ここ数ヶ月は横ばい気味で、下げ渋りをみせるようになってきています。やはり失業率の上昇なしに、賃金インフレが2%に向けて減速していくのは難しいでしょう。
全体としては、失業率の上昇が少し気になったものの、前回に引き続き、まだまだ高金利の維持が必要であることが再認識された雇用統計だといえます。
今後、どこかのタイミングで「景気後退」と「高金利の維持」が同時に襲ってくるような憂鬱なタイミングがあるかもしれません。その時こそが、間違いようのない買い時でしょう。
景気後退が悪化すれば、FEDは金融緩和に転換して「高金利の維持」というテーマが剥がれてくるからです。その時に買うべきものとしては、ドラッケンミラー氏は銅や住宅市場、AI関連銘柄をあげていました。
とはいえ、そのような絶好の機会であればインデックスを買うだけでも十分なリターンが得られると思います。
結論:引き続き、待ちの投資を継続
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