国内PPI:2023年5月の企業物価はインフレ減速も高水準、第二波にも警戒必要
先週発表された2023年5月の国内企業物価指数(PPI)は、前年比+5.1%でした。これは前回の+5.9%から0.7ポイント減速して、企業物価のインフレ減速トレンドが維持されていることを示しました。
一方で、前年比+5.1%という水準は依然として高水準であり、企業がこれらの値上がりを最終商品の値上げに転嫁した場合、消費者物価指数にはまだ上昇の余地があることになります。
また、PPIに先んじて下落していた輸入物価指数が反発して上昇に転じたように見えることも気になります。日本のインフレ加速懸念は引き続き存在していると考えます。
0.7ポイント減速して前年比+5.1%
2023年5月の国内企業物価指数(PPI)は、前年比で+5.1%でした。前回の+5.9%からは0.7ポイントの減速となりました。
前年比+5.1%は十分に高水準で注意が必要
上のグラフを見ていると、インフレは順調に減速しているように見えます。
しかし、前年比+5.1%というインフレ率は依然として十分に高水準であることを忘れてはいけません。
5月に発表された4月の消費者物価指数は前年比+3.5%へと加速していましたが、それでもまだ3%台です。
もしも企業が仕入れの値上がり分を消費者に全額転嫁しようと思えば、消費者物価指数にはまだ上昇余地があることになります。消費者が肌間でインフレの加速を引き続き感じる状況が続けば、購買行動にも影響を及ぼして、さらにインフレに拍車をかける可能性もないとはいえません。
国内企業物価指数のインフレ率が減速しているのは喜ばしいことではありますが、日銀が今のマイナス金利を悠長に保っていてよい状況かといえば疑問符がつきます。
第二波にも注意が必要
まだ消費者物価指数は第一波の真っ最中であり、企業物価指数は第一波が減速してきたところです。
そうした状況で第二波の話をするのは気が早いようにも思えますが、国内企業物価指数に先んじて下落に転じていた輸入物価指数が今回上昇に転じた点にも注意しておく必要があると思います。
一番右のグラフが輸入物価指数ですが、5月は前月比+2.2%と3ヶ月ぶりの上昇に転じました。直近は141円台まで円安が進んでいるので、輸入物価は上がりやすい状態にあるといえます。
もしも輸入物価が再び上昇トレンドに転じたなら、それは企業物価指数に影響を与えて、いずれは消費者物価指数にも影響を与えるでしょう。
結論:日本のインフレは引き続きトレードしうる
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