ガンドラック氏:企業の借り換え難がいよいよ始まる
ガンドラック氏が、少なくない量の社債が借り換えの時期を迎えることによるショックをツイッターで指摘しました。
数年前にゼロ金利で調達した資金が返済時期を迎える
ガンドラック氏は、6月24日に以下のようにツイートしています。
米国の負債は$32Tを超えて、すでに$33Tに向けて爆増している。そうした負債の利払いは、FEDが5.00%も利上げをしてきたことがアクセルとなり、当然増えている。数年前に0%近い金利で発行された短期の社債の少ない数が返済期限を迎えようとしている。おっと。
本ニュースレターの読者の皆様は、これだけで彼の言いたいことが十分に分かるかもしれません。しかし、それでは付加価値がないので、この内容について詳しく見ていくこととしましょう。
まず、社債が過去の各年にどのくらい発行されたのかを見ると、以下のようになっています。
2020年には新型コロナの影響で資金調達需要が生じて、$2,000Bを超える社債が発行されたことが分かります。ガンドラック氏の指摘する「数年前に0%近い金利で発行された短期の社債」というのは、ここに含まれるものでしょう。
一方、社債の多くは2年で満期を迎えるようなものではなく、5年や10年といった期間のものが多いはずですから、このうちどれだけが目先に満期を迎えるのかは不明です。
残念ながら、目先に満期を迎える債券のデータを見つけるのは難しかったのですが、中小企業ほど長期で借りるのが難しく、短期の融資や債券に頼っている割合は多いでしょう。
借り換えは難しく、金利も高い
さて、債券が返済期限を迎えると、普通はロールオーバーといって、借り換えを行います。例えば、1億円を返すときに、新たに1億円の債券を発行して、1億円を調達するわけです。
しかし、以前から書いている通り、直近の債券市場は特にハイイールド債などのリスクの高い債券において、資金調達が難しくなっています
ハイイールド債の市場は完全に停止してしまった。3月2日以降、ハイイールド債の起債は行われていない。また、ハイイールド債市場ではトリプルCのようなジャンク債とダブルBのような高品質の債券の間でスプレッドが大きく拡大している。
ロールオーバーが出来なければ、返済のために資産を切り売りしたり、破綻する可能性もあります。破綻すると、その企業の資産は売られますから、結局は社会全体のバランスシートが圧縮される、つまり信用収縮が起こります。
また、仮に調達できたとしても、その調達金利は数年前のように0%近い水準ではなく、今の短期金利である4%程度にスプレッドを加えたものであり、下手をすると二桁%といったものもあるでしょうから、利払いのコストは重くのしかかります。
ガンドラック氏は、そうした危険性を指摘していることになります。
ガンドラック氏おすすめの債券投資
このように信用収縮による景気後退が起こる可能性を念頭に置いて、ガンドラック氏は、最近は繰り返し債券投資の魅力を伝えています。
債券市場は、株式市場と比べて非常に安い。デフォルトリスクのない、非常に格付けの高い債券でも利回り5%のポートフォリオが組める。上手に運用されたアクティブ運用の債券ポートフォリオであれば、8%、9%、10%といった利回りも可能だ。
詳しくは、上の記事を読んでいただければと思いますが、ガンドラック氏は長期の米国債で景気後退リスクをヘッジしながら、短期の社債などで利回りを積み増すバーベル・ポートフォリオを薦めています。
結論:株式には目先弱気スタンス
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