米6月雇用統計は強く、引き続き、高金利が維持される
7月7日の米国雇用統計では、失業率が3.6%、賃金上昇率が+4.4%でした。
失業率は3.6%で横ばい
まずは、雇用統計の数字をみていきましょう。
失業率は3.6%で、前回の3.7%から0.1ポイント下落しました。
前回の雇用統計では、失業率が3.7%に上昇しました。4%に向けて上がっていくようであれば景気後退が意識されると書きましたが、今回は3.6%なので、まだ横ばいのトレンドが続きそうです。
失業率が今後3.7%を超えて、4%に向かって上昇を続けることがあれば、市場では景気後退が強く意識される展開になると思います。その場合、金利は下がり、景気に敏感な業種の株式も下がるでしょう。
賃金インフレは+4.4%で高水準
続いて、時給の伸び率をみると、前年比で+4.4%でした。賃金インフレは緩やかな減速トレンドにあるものの、FEDが目標とするインフレ率2%前後まではかなり距離があります。
注意すべき点としては、時給は上がっていますが、週あたりの労働時間は下落トレンドです。
こちらは以前にガンドラック氏が指摘していた内容です。
新規就業数は強かったが、1人あたりの労働時間は著しく減少した。それらを掛け合わせると、経済的な仕事量が計算できる。新規就業は強かったが、労働時間はそれ以上に減少しており、これらの積を計算すると、雇用が減ったことになる。
消費者の経済状況は強い
時給は伸びているけれど、労働時間が減っているということですが、結果として消費者の経済状況は強いのでしょうか、弱いのでしょうか。
貯蓄率を見てみると、昨年はインフレによる支出増で貯蓄率が下がっていましたが、直近は底打ちして上昇トレンドに入っています。
米国民の貯蓄の全体額をみても、同じように底打ちして増加に転じています。
今のインフレ率は+4%前後で、賃金インフレは+4.4%程度ですから、アメリカの消費者は貯蓄を進めることができており、経済状況は強いと考えるのが自然です。
ガンドラック氏のいうように、今のアメリカには弱い経済指標もたくさんありますから、油断は大敵ですが、ベースとしては経済は想定よりも強く、景気後退は遠く、しばらく高金利が維持されると考えるべきでしょう。
結論:金利上昇にも備える
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