目先はインフレの長期化を意識した金利上昇リスク、長期では景気後退リスクに備える
最近は、米国の経済状況の展開が目まぐるしいため、本ニュースレターにおいても、言っていることが変わったり、一貫性に欠けてしまっている部分もあるかと思います。
これは実際に経済環境の移り変わりがあることなので、仕方のないことでもありますが、やはり少し遠くを見て、しっかりとした考えを持ってトレードをするのが理想です。
そこで、今回は、直近の経済状況や市場の反応を振り返りつつ、今後のシナリオを改めて整理しておきたいと思います。
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昨年後半から低下を続けた米国インフレ率
まず、こちらは何度も書いていますが、昨年の7月をピークに米国のインフレ率は低下を続けています。
こうしたインフレ率の低下を折り込むかたちで、米国債の金利が低下してきたのが、
東京都の物価指数は前年比+4.3%で、日本のインフレは加速中
しばらく米国の話題が多かったため、日本については書いてきませんでしたが、銀行株のロングポジションは継続保有しているため、日本の状況もウォッチしておきたいと思います。
以前も書いたように、銀行は日本の長期金利が上昇すると儲かるため、銀行株のロングポジションを継続するかの判断にあたっては、日本の長期金利の展望が重要です。そして、長期金利に影響を与えるのが日本の物価、つまりインフレです。インフレが続くのであれば長期金利はいずれ上昇するし、インフレが収まるのであれば長期金利はそれ以上、上昇する必要がないからです。
* 日銀政策決定会合は長期金利を0.5%に維持も、金融政策はインフレ率次第
直近、日本の物価に関する指標を確認すると、
レイ・ダリオ氏:現金はゴミではなくなった
有名ヘッジファンドのブリッジ・ウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏は、2月2日にCNBCのインタビューに答えて、「現金はゴミではなくなった」との見解を示しました。
レイ・ダリオ氏は、新型コロナ禍以降「現金はゴミだ(Cash is trash)」と述べてきましたが、FEDが昨年大胆な利上げを行い、実質金利がプラスに転じたことを受けての意見変更です。
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「現金はゴミ」の真意
ガンドラック氏:FEDの予想する失業率4.6%は、確実に景気後退を保証してしまう
債券王として知られるガンドラック氏は、年初のラウンドテーブルにおいて、FEDが予想する2023年末の失業率4.6%は12ヶ月移動平均を大幅に超えており、景気後退入りを確実にすると述べました。景気後退によって金利が下がればインフレ率は下げ止まり、金融緩和が再開されればインフレの第二波が予想されます。一方、FEDが徹底的にインフレを抑え込む場合、景気後退は激しいものとなるでしょう。
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失業率が12ヶ月移動平均を超えると、景気後退は確実に保証される
1月6日に公開された12月雇用統計では、失業率が3.5%でした。
1月に入って公開されている足元の雇用統計や実質GDPの数字は、2022年第4四半期(
景気後退が今年の後半以降であれば、インフレ対策で株式ショート取引が必要か
直近、アメリカのインフレ率は低下しています。特に、エネルギーや住宅価格などの「物の値段」が下落を続けています。一方で、雇用市場は非常に強く、人件費が主なコストとなる「サービスの値段」は上昇を続けています。
今年、「物の値段」のインフレ率が低下しているのは、昨年のインフレ率が高かったためであり、その恩恵が剥落してくると、米国インフレ率の低下は下げ渋り、あるいは再加速する可能性もありえます。その場合には、株式ショート取引が必要かもしれません。
2023年2月発表の米国雇用統計は予想を大幅に上回るも、賃金インフレは低下中
先週金曜日に発表された米国雇用統計は非常に強い内容でした。
* 雇用者数:
前月比で+517,000人、予想の+190,000人を大きく上回る
* 失業率:
3.4%とコロナ以前よりも低い水準まで低下
* 賃金:
前年比+4.4%と上昇率は低下傾向だが、サービス業の賃金は前年比+7.0%
ガンドラック氏:リスク資産の上昇ペースが早く、数ヶ月後には割高になる
ガンドラック氏が、リスク資産の上昇ペースが早く、今年の第一四半期に期待できるリターンをおおむね先取りしてしまったとCNBCのインタビューで語りました。
年初から好調なリスク資産の価格推移や強めの雇用統計・実質GDP等を受けて、ガンドラック氏も僕同様にFEDがFOMCで鷹派なメッセージを発することを予想していたようですが、先日書いた通り、FOMC声明や記者会見は鳩派と受け止められ、株価はさらに上昇しました。
こうした上昇を受けて、S&P500の年初来リターンは+9%台に達しており、この勢いでラリーが続くのであれば、数ヶ月後には割高になるとの見方を示しました。
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鳩派と受け止められた2月FOMC声明
FOMCでFEDが鷹派なメッセージを出すのではないかと予想して、
FOMCは0.25ポイントの利上げ、インフレとの戦いは一段落
2月のFOMCでは、予想通り0.25ポイントの利上げが行われました。今後については、FEDは声明で「継続的な利上げが適切」としていますが、同時にインフレについて「少し和らいでいる」としたため、鳩派であるとの受け止めが広がりました。
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0.25ポイントの利上げは予想通り、今後は経済状況次第
FOMCでは、事前の市場予想通り、0.25ポイントの利上げが行われました。結果、
ガンドラック氏:1年後の金利・株価・為替・原油・btcの価格を予想
前回紹介した、UBSの主催したガンドラック氏のオンラインインタビューですが、最後に余興として、ガンドラック氏に即答で1年後の価格予想、5年後の経済指標予想をしてもらうというコーナーがありました。
大切なのは、その背景にある考え方を知ることであり、価格や数値予想自体はあくまでも余興に過ぎませんが、せっかくなので紹介しておきたいと思います。
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1年後の各種資産の価格予想
まずは、1年後の価格予想からです。インタビュワーが2つの数字を示して、どちらに近くなっていると予想するかをガンドラック氏が答えるという形式になっています。
* 米国10年国債金利は、3%か4%か:
3%
ガンドラック氏:日銀の金融政策は80階から飛び降るようなもので、まだ地面にぶつかっていないだけ
債券王ジェフリー・ガンドラック氏の率いるDoubleLine Capitalの年初ラウンドテーブルにおいて、日銀の金融政策が話題に上がっていました。「景気サイクルを一周まるごと低金利のまま耐えてしまうかもしれない」と興味深く評価する論者もいましたが、ガンドラック氏は「80階から飛び降りて、まだ地面にぶつかっていないだけだ」と酷評しました。
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日銀のYCC(イールドカーブコントロール)はフィクション
ガンドラック氏の意見を紹介する前に、同ラウンドテーブル参加者であるジム・ビアンコ氏が興味深い指摘をしていたので、まずはこちらを紹介したいと思います。
日本はイールドカーブコントロールを実施していない。日本が実施しているのは、