米国マクロ経済

米国のマクロ経済環境に関するニュースレターのバックナンバー一覧です。
4月
20

レイ・ダリオ氏:米ドルの覇権は失われる

前回に引き続き、レイ・ダリオ氏のインタビューから気になる点をお伝えします。 * レイ・ダリオ氏:債券の保有者は元本を満額で受け取れない 毎朝メールで受け取る 覇権通貨の没落は繰り返し起こっている そもそも、僕たちは米ドル覇権の時代に生きてきたので、多くの人は米ドルの覇権が失われるということを想像するのが難しいでしょう。しかし、歴史を研究してきたダリオ氏は、覇権通貨の没落は繰り返し起こってきたことだと指摘します。 覇権通貨の没落は繰り返し何度も起こっていることだ。イギリスのポンドも没落したし、オランダのギルドも没落した。それらは全て同じ理由で起こる。 覇権通貨が没落する理由として、ダリオ氏は2つの事象をあげています。
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4月
19

レイ・ダリオ氏:債券の保有者は元本を満額で受け取れない

世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエイツの創業者レイ・ダリオ氏がImpact Theoryのインタビューの中で、現在の経済状況を説明しました。 毎朝メールで受け取る 金利高騰で損したのは銀行だけではない まず、レイ・ダリオ氏が強調したのは、米国債への投資で損をしたのは銀行だけではないということです。 シリコンバレー銀行に起きたことは、世界中の数多くの会社に起きていることだ。銀行は預金を受け入れて債券を購入するが、金利が上がると、債券の価格が下がり、預金者への金利支払いも高騰した。また、預金者は市中金利と比べて競争力のある金利を求めて、銀行から預金を引き出した。
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4月
18

サマーズ氏:米国経済はスタグフレーションに向かっている

サマーズ氏はBloombergの番組に出演して、米国経済がスタグフレーションに向かっているという認識を示しました。 毎朝メールで受け取る スタグフレーションに向かっている 冒頭でサマーズ氏は、経済がスタグフレーションに向かっているという認識を示しました。 経済が停滞している兆候が見え始めているが、インフレの継続にも悩まされている。これは手強い組み合わせだ。 スタグフレーションとは、経済が停滞している(主に失業率が上昇する)中で、同時に物価がインフレしている状況を指します。 通常、経済が停滞するときはデフレになりがちなので、金融緩和で景気対策を行います。実際、リーマンショック後や新型コロナショック後には強力な金融緩和が行われました。 しかし、
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4月
17

前年比+4%台まで減速した米国CPIと市場参加者の読み間違い

2023年4月12日に発表された米国CPIは予想の前年比+5.2%を下回る+5.0%でした。厳密には+4.98%であり、インフレ率はついに4%台まで減速しました。 毎朝メールで受け取る インフレ率はついに4%台まで減速 昨年の夏頃には9%台に迫る勢いだったインフレ率も、FEDの急速な利上げを受けて、ついに4%
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4月
13

モハメド・エラリアン氏:利下げするとスタグフレーションになる

前回に引き続き、モハメド・エラリアン氏のブルームバーグのインタビューの内容をお伝えしていきます。 * モハメド・エラリアン氏:米国経済はQ3〜Q4に悪化する 毎朝メールで受け取る 利下げを行うとスタグフレーションになる エラリアン氏は、今後FEDが取りうる施策について、以下のように述べています。 彼ら(FED)が取りうる最悪の手段は、「信用収縮が起こるから、利下げを行おう」というものだ。もしも彼らがそうしたなら、私たちはスタグフレーションと金融不安に陥る。
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4月
12

モハメド・エラリアン氏:米国経済はQ3〜Q4に悪化する

元PIMCOのCEOで、現在は経済学者として活動しているモハメド・エラリアン氏が、シリコンバレー銀行から始まった銀行の経営破綻騒動と、今後Q3〜Q4にかけて経済が悪化するだろうという見通しについて、ブルームバーグのインタビューで語りました。 毎朝メールで受け取る 銀行の取付騒ぎは終わった 3月の一連の銀行関連の騒動をふり返って、エラリアン氏は以下のように述べています。 銀行業は信用に基づいているので、信用が失われると悪いことが起こる。良いニュースは、赤信号(最悪の危機)は過ぎ去ったことだ。今は黄信号のフェーズにある。我々は流動性の問題から資本の問題へと移行しているし、金融危機から経済危機へと移行している。
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4月
10

無難な3月米雇用統計:失業率の上昇は見られず、賃金インフレは順調に減速

4月7日に発表された雇用統計は無難な内容でした。 失業率は3.5%で前回の3.6%からほぼ横ばいとなりました。賃金の前年比上昇率は4.2%で前回の4.6%から約0.4ポイントの低下となりました。 失業率は3.5%で上昇は見られなかった 4月7日に発表された3月分の雇用統計では、失業率は3.5%で上昇は見られませんでした。 さて、
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4月
07

米国における銀行預金の流出はシリコンバレー銀行の破綻以前から始まっている

以前、米国銀行の預金流出が今後も続くであろうという債券王ガンドラック氏の見立てを紹介しました。 今回は、米国の銀行預金残高データが2023年3月22日週の数値まで更新されたため、そちらを確認していきたいと思います。 銀行預金の流出は続いている 3月22日週の銀行預金残高は$17.3Tでした。前週が$17.4Tほどなので、3月22日週にも$100Bほどの預金流出が続いていることが分かります。 以前のニュースレターでは、FEDが実質的に量的緩和を再開してまで銀行を支援している様子をお伝えしました。 * 銀行破綻への対応で、FEDは実質的に量的緩和を再開している 改めてFEDのバランスシートを確認してみると、3月15日週、
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4月
06

ISM製造業景況感指数は新型コロナ前後の水準まで後退している

最近は、連日のように景気後退をシグナルしている各種数値をお伝えしていますが、本日もISM製造業景況感指数という製造業の景気を表す指数が悪化している様子をお伝えします。 毎朝メールで受け取る ISM製造業景況感指数は新型コロナ前後の水準まで後退 4月3日に発表された3月のISM製造業景況感指数は予想の47.6を下回る46.3でした。前回は47.7であったことから、1.4ポイントの下落となります。 ISM製造業景況感指数は、全米の製造業の300人以上の購買・供給管理の役員に、生産、新規受注、在庫、価格、雇用などの項目について、
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4月
05

ケースシラー価格指数:2023年1月の住宅はデフレが継続、来年は前年比もマイナスへ

先週3月28日にケースシラー住宅価格指数が発表されています。 インフレの一角を占めて昨年は随分と話題になっていた住宅価格ですが、現状はすでに下落トレンドにあり、来年には前年比もマイナスになることが予想されます。 毎朝メールで受け取る S&Pケースシラー住宅価格はすでに下落中 S&Pケースシラー住宅価格指数が下落に転じていることは、以前のニュースレターでもお伝えしている通りです。先週3月28日に発表された最新(2023年1月)の数値でも住宅価格がすでにデフレに入っていることが改めて確認されました。 S&Pケースシラー住宅価格指数の中でも一般的に確認される主要20都市の数値を前年比で見てみると、まだプラスを維持しているものの前年比で+2.
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