2023年2月発表の米国雇用統計は予想を大幅に上回るも、賃金インフレは低下中
先週金曜日に発表された米国雇用統計は非常に強い内容でした。
* 雇用者数:
前月比で+517,000人、予想の+190,000人を大きく上回る
* 失業率:
3.4%とコロナ以前よりも低い水準まで低下
* 賃金:
前年比+4.4%と上昇率は低下傾向だが、サービス業の賃金は前年比+7.0%
ガンドラック氏:リスク資産の上昇ペースが早く、数ヶ月後には割高になる
ガンドラック氏が、リスク資産の上昇ペースが早く、今年の第一四半期に期待できるリターンをおおむね先取りしてしまったとCNBCのインタビューで語りました。
年初から好調なリスク資産の価格推移や強めの雇用統計・実質GDP等を受けて、ガンドラック氏も僕同様にFEDがFOMCで鷹派なメッセージを発することを予想していたようですが、先日書いた通り、FOMC声明や記者会見は鳩派と受け止められ、株価はさらに上昇しました。
こうした上昇を受けて、S&P500の年初来リターンは+9%台に達しており、この勢いでラリーが続くのであれば、数ヶ月後には割高になるとの見方を示しました。
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鳩派と受け止められた2月FOMC声明
FOMCでFEDが鷹派なメッセージを出すのではないかと予想して、
FOMCは0.25ポイントの利上げ、インフレとの戦いは一段落
2月のFOMCでは、予想通り0.25ポイントの利上げが行われました。今後については、FEDは声明で「継続的な利上げが適切」としていますが、同時にインフレについて「少し和らいでいる」としたため、鳩派であるとの受け止めが広がりました。
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0.25ポイントの利上げは予想通り、今後は経済状況次第
FOMCでは、事前の市場予想通り、0.25ポイントの利上げが行われました。結果、
ガンドラック氏:1年後の金利・株価・為替・原油・btcの価格を予想
前回紹介した、UBSの主催したガンドラック氏のオンラインインタビューですが、最後に余興として、ガンドラック氏に即答で1年後の価格予想、5年後の経済指標予想をしてもらうというコーナーがありました。
大切なのは、その背景にある考え方を知ることであり、価格や数値予想自体はあくまでも余興に過ぎませんが、せっかくなので紹介しておきたいと思います。
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1年後の各種資産の価格予想
まずは、1年後の価格予想からです。インタビュワーが2つの数字を示して、どちらに近くなっていると予想するかをガンドラック氏が答えるという形式になっています。
* 米国10年国債金利は、3%か4%か:
3%
ガンドラック氏:日銀の金融政策は80階から飛び降るようなもので、まだ地面にぶつかっていないだけ
債券王ジェフリー・ガンドラック氏の率いるDoubleLine Capitalの年初ラウンドテーブルにおいて、日銀の金融政策が話題に上がっていました。「景気サイクルを一周まるごと低金利のまま耐えてしまうかもしれない」と興味深く評価する論者もいましたが、ガンドラック氏は「80階から飛び降りて、まだ地面にぶつかっていないだけだ」と酷評しました。
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日銀のYCC(イールドカーブコントロール)はフィクション
ガンドラック氏の意見を紹介する前に、同ラウンドテーブル参加者であるジム・ビアンコ氏が興味深い指摘をしていたので、まずはこちらを紹介したいと思います。
日本はイールドカーブコントロールを実施していない。日本が実施しているのは、
$SPXSで米国株ロングポジションのヘッジを開始
ETFの$SPXS(S&P500の3倍ベアETF)で、米国株のロングポジションをヘッジする取引を開始しました。
僕のポートフォリオは米国長期債のロングポジションがメインであり、景気後退時の米国株下落はこれでヘッジできています。しかし、今週のFOMCで鷹派なメッセージが示されて金利が上昇した場合の米国株下落については、米国債ではヘッジになりません。
そこで、ポートフォリオ全体のリスクを落とす意味合いで、$SPXSによって米国株のロングポジションをヘッジします。なお、なぜ米国株を売らないかということですが、米国株は、基本的に長期保有の個別銘柄が多数であるため、短期的にこれを売買するということは考えていないためです。
サマーズ氏:FEDは将来の金融政策の柔軟性を確保すべき
元米国財務長官も務めたマクロ経済学者のサマーズ氏が、先日の米国GDPについて、Bloombergの番組でコメントしました。サマーズ氏は、在庫の増加などがGDPを押し上げていることを考えると、全体としてはコンセンサスを上回ったものの、このGDPの解釈は難しいという見方を示しました。また、FEDは将来の金融政策の柔軟性を確保すべきだとコメントしました。
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米国GDPは内訳まで見ると判断が難しい
復習しておくと、米国実質GDPは前期比+2.9%(年率換算)で、コンセンサスの+2.7%
ガンドラック氏:景気後退で金利が下がり、インフレ率は4%で下げ止まる
ガンドラック氏が、UBSのイベントで行われたオンラインインタビューで、これまでよりも詳細に経済の見通しを語っていました。
ガンドラック氏が従来から述べていたことは、市場がインフレ率が前年比+2%程度まで下がることを織り込んでいるが、その場合はデフレまで陥ることになるというものでした。これに対して、ガンドラック氏自身のメインシナリオとしては、インフレ率は前年比+4%程度から下がらなくなってしまうというものであることが説明されました。
FEDは利下げに転じる
現在、FRBは何としてもインフレを抑え込むという鷹派の姿勢をとっており、FF金利を5%以上にまで上げたうえで、その状態を継続することを公言しています。
しかし、
米国実質GDPは予想を上回り、2022年第4四半期の経済が強かったことを示した
2022年第4四半期の米国GDPが発表されました。実質GDPは前期比+2.9%(年率換算)で、コンセンサスの+2.7%を上回りました。また、内訳を見ていくと、個人消費は予想を大きく下回ったものの、民間投資が前期比プラスを回復するなど、明るい要素も見られました。
今回発表されたデータは2022年10月〜12月のものなので、バックミラーを見ているようなものであり、今の足元の景気を示すデータではありません。とはいえ、
ガンドラック氏:アメリカのインフレ率は5月に4%まで下がり、債券市場はその後のデフレを意識している
ガンドラック氏は、年初のラウンドテーブルにおいて、「2023年6月に発表される2023年5月の米国CPIは前年比+4%程度まで下がるだろう」という見通しを示しました。
ガンドラック氏は、以前から前年比+2%までインフレ率が下がるのであれば、その勢いのまま前年比マイナスまで突き抜けて、景気後退に陥ると主張していましたが、改めてその主張を繰り返しました。加えて、その結果としてデフレにまで突入するというアイデアを債券市場が意識しはじめている点に興味を持っていると述べました。
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今後のインフレ率にはベースエフェクトが働く
ガンドラック氏が、今後のインフレ率が急速に下がる理由として挙げているのが「ベースエフェクト」